WEB金蘭会
金蘭会セミナー


第189回
平成27年6月19日(金)

演題
『阪神・淡路大震災が教えてくれた商いの掟とアナログの大切さ』
講師
森 忠延氏(昭和54年卒)
活芟ヒ書店 代表取締役
 


森 忠延氏 プロフィール

略歴:

1961(昭和36)年1月生まれ 
昭和54年 大手前高等学校卒業 
昭和59年 大阪大学人間科学部卒業 三菱レイヨン(株)入社
平成05年 井戸書店入社   
  ちなみに井戸書店は兵庫県神戸市須磨区板宿駅真上にある新刊書店です。   
  URL:http://idobook.jimdo.com/

放映:
「ごきげんライフスタイル よ〜いドン!」 (関西テレビ)
  となりの人間国宝さんのコーナーで 2012/12/ 7(金) 9:55〜11:20 で紹介される

授賞:
 井戸書店は中小企業庁から 『地域課題を解決する中小企業・NPO法人 100』 に選ばれる
  http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/PDF/150617jirei2.pdf 
  の93項目

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セミナー後の懇親会での お弁当と
季節の本格和菓子です。


第189回金蘭会セミナー 感想文

(感想文 笹田千幸  昭和54年卒)

 

 森さんの人生において、ターニングポイントになった1995年(阪神淡路大震災の
あった年)から、森さんが学び、ずっと大切に思い続けていること、実行していることを、
40年近く前の在学中に文化祭で落語をしてくれた時のように軽妙な口調で、私達に
語ってくれました。

 震災の日、神戸の板宿にある森さんのご自宅やお店(井戸書店)の被害は、比較的
少なかったそうですが、周辺は未曾有な被害。震災1週間後、書店の営業を再開すると、
売れるものに、今までにない片寄り、時間の経過による変化があったそうです。それは、
お客さん全てが被災者で、状況が刻々と変化するからでした。

 そこで、森さんは、それまでのご自分の商売は、物を見て商売をしていたけれど、
『人を見て商売をしなければいけない』と、気付かされたそうです。情報を集めるだけで
なく、情報を編集する力をつけ、商品を厳選し、書棚を地域の人のニーズにあったオリ
ジナルな棚づくりに作りかえることを思いつかれます。

 『地域が元気でないと商売も成立せず、復興もあり得ない』と、地域への活動も様々
取り組んでおられます。全国でも珍しい可動式本棚の井戸書店のスペースを利用し、
月に一度、地域の子供達を集め開く「論語塾」、精神障害者授産施設への協力
(井戸書店の配達の仕事を障害者にやってもらう)等々。

 人と人をつなぐ役割を、町の本屋さんだからできること、『なくてはならない書店』を
目指し、『地域に唯一無二の書店』を展開している原点が、あの震災後の混乱の中で
培われてきたとは、なんと冷静な自己分析力、エネルギッシュな行動力なのでしょう。

 それらの行動の為に、ご自分も数々の本を読み、人の話を聞き、勉強された、その
一端を、紹介されました。森信三、英国のサミュエル・スマイルズ、フランスのデカルト
各氏の著書による『読書の必要性』恥ずかしながら、私は手を出さない領域の本ですが、
森さんの解説により、『読書の必要性』がとてもよくわかりました。

 中でも、デカルトの『過去の最も優れた人々と会話をかわすようなものである』について、
「書物を読むと、時空を超えて知り合える」と言われたことは、古典が苦手で嫌な私の心に
深く響きました。そんな素敵なことに今まで、気付かなかったなんて・・・・・

 Windows95に代表されるように、1995年がアナログからデジタルへ大きく移行した
ターニングポイントであったことによって、誰でもが安易に発信できるようになったことは
良い面もあるが、その情報は、編集業務を伴っていない為、正しいのか否か定かでは
ないことや、 デジタルが人の成長には不向きであり、心して、デジタル社会と向き
合わないといけないこと、さらには知的産業の衰退を招くことを教えて頂きました。

 私達は、アナログ社会も経験しているので、デジタルの問題点も認識し、双方の利点を、
上手く活用していけるかもしれないけれど、若い世代の人達のデジタルばかりに依存した
社会現象に、もっと、こころ配りをしていかないといけないのだと感じました。

 講演の最後に、町の本屋さんらしく、『感動の伝達人・森忠延のオススメ本』の紹介は、
これを読むと、森さんのようにハートフルなお人柄になれるのかな。早速、読みはじめます。

 森さんは、同期のメーリングリストの中で、3か月前、こう呟いていました。
「なんや同級生が、がんばってる姿は、勇気を与えてくれるなぁ〜」と。
  この言葉を、そっくりそのまま、森さんに贈りたいセミナーでした。




 

 

セミナーの資料です。








 

セミナー当日のレジュメです。


 


ページデザインS53年卒岸政輝 & ページ作成S50年卒谷村瑞栄