今回セミナーで私は石田梅岩と言う人の名前を知りました。
江戸時代、関東には足利学校、関西には適塾、西国には閑谷学校など有名な塾や
学校がありましたが、それらは幕府や藩によって運営され士族の子弟が参加して
学んだのであります。
石田梅岩は京都亀岡の農家の出身で若いころ商家に奉公しながら勉学し、「民が
豊かにならないと国は豊かにならない。民の富が経済の根本」とする思想を説いて、
江戸中期の1729(享保14年)に京都市内で心学の講座を始めました。講科は無料、
商人も武士も参加、しかも女性も聴くことが出来たそうです。
梅岩の思想の中核は「勤勉」「正直」「倹約」です。梅岩の講話を聞いた大勢の
弟子達によって日本全国に広がって行きました。
梅岩が講を開いた頃は元禄の好景気が終わり経済活動が停滞していた時期だから
今の日本と同じです。梅岩の思想が最近大いに注目される「石門心学講演会」も
大阪の地で開催されているようなので一度聴講したいと思います。
今回の「心学」に関しては、梅岩の遺した「学徳」は江戸時代の通じて多くの
人々から尊敬せられ各地の「舎」の組織を通して大きい感化を国民に与えたもので、
梅岩が生まれ、それを地盤としてのその思想を形成した封建社会が明治維新の
境として近代社会へと大きく発展すると共に、一応その「史的な使命を果し全国を
通じて数百を数えた学舎も、この社会的大変革の前後に大半は廃絶した。
又梅岩の説いた勤勉・正直・倹約の経済倫理は大きい基礎と背景のもとに形を変えて
維新後の資本主義社会発展の中に生きて、近時新しくその意義は再発見されている。