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金蘭会セミナー


第151回
平成23年9月16日(金)
演題
「放射線と原子力」
講師
五十棲泰人氏(昭和36年卒)
元京都大学放射性同位元素総合センター長 京都大学名誉教授
 


講師写真

五十棲泰氏 プロフィール

    ・京都大学放射性同位元素総合センタ−教授、センタ−長を経た後、
     平成18年京都大学退職、同大学名誉教授
   
    ・京都大学在職中、原子・原子核物理 、放射線計測、放射線安全管理を
     専門として活動

    ・その間、新しい放射線検出器の開発、物理計測解析プログラム、
      放射線安全管理ソフトウエア−の開発に従事

    ・工学博士
   
    ・株式会社イソシールド 代表取締役社長
  










  




  




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第151回金蘭会セミナー 感想文




(感想文  昭和36年卒  中堀 清)

 

 金蘭会セミナー第151回「原子力と放射線」を聴講したので、簡単に感想を述べます。
講演者・五十棲博士(京都大学名誉教授)は私と同期で、高校時代は柔道の達人、京大で原子力
工学の研究に邁進、文武両道の学者です。いま、人々の関心が最も高いテーマに、同窓に最適の
人を得て、有益な講演会になったと思います。しかし、難しい内容をわずか1時間で話すのは無理で、
先生も謂われたように、こうした機会を多くし、人々が真実を知る努力を積み、大いに論じ、各々が
冷静に判断することが大事と考えます。

 少しづつ事故の真相が知らされつつありますが、これから事態がどう進むのか、安心できる測定値は、子供たちの健康への影響は、除染の効果は、将来にわたって安全が担保できる原発の保全と操業は
あり得るのか。知るべきこと、早く究明されるべきことばかりです。

 先生の教えから、放射線の健康への影響は、ガンや感染症と同様、発症リスクと人の抵抗力・
免疫力との拮抗によると理解します。サプリ摂取で免疫力を上げる人も増えている由、我々のできる
対策は、身体を強化して、放射線をはねつけることか?

 又、知らずとも、我々は宇宙・土中・食品から自然放射線を浴びています。昔、電力中央研究所が
「若干の放射線は健康にプラス」と宣伝していたことを思い出します。これも極論、もう手遅れで
“すぐ東京を逃げ出せ”も過激論、冷静に中庸をいくしかありません。

 五十棲先生は研究者として、放射線の医療や産業利用の重要性を考え、「リスクベネフィット」論を
とっておられると思料します。私は、最終的に「パンドラの箱」に戻して封印することを主張しますが、パンドラの箱を隙間だけ開け、「ゴジラ」は封じ込め、いいとこ取りできれば、ハッピーか。まだまだ勉強を要します。

『パンドラの箱』
 原発事故と放射能汚染の広がりは長期にわたる大災難です。たかが巨大な「湯沸かし器」を冷やす
のに、1000人がかり(文字通り必死の作業員には頭が下がりますが)で、半年、1年、いやまだまだ・・・、廃炉には30,40年、科学的根拠を知りたいですが、その間、放射能は出っぱなし、でしょうか?
 電力会社、政府、学者、マスコミ、原発族の隠ぺい・無責任・いいかげん体質には怒り呆れます。
原発は現代の「ゴジラ」、アメリカの水爆実験で目を覚まし(反核反戦映画でした)、東京をめちゃくちゃに
(最後はどうなりましたか)、しかし、ゴジラは形があり、どこか愛嬌がありました。放射能は形も味・匂いもなく、じわじわ人体を蝕む悪魔、早く、「バンドラの箱」に戻して、封印することです。しかるにその
方法は如何?

 「バンドラの箱」を開けたのはだれか?1945年7月16日未明のアメリカ・ニューメキシコ州・
アラモゴード砂漠、すさまじい閃光ときのこ雲。実験に立ち会ったノーベル物理学賞学者・エミリオ・セグレ
は爆心から15kmで、頭を反対に、強いサングラスをかけ、しゃがんで、そのとき、「全天が信じられない
明るさに閃き、この爆発が大気に火をつけ地球を焼きつくし、終末が来るかと恐怖し」実験責任者ケン・ベ
インブリッジは「僕たちはこれで全員救われない人間になってしまったのだなあ」とつぶやく。
  見守った人々は、泣く人、ニヒルに笑う人、恐怖で鳥げだつ人、灌木の影でおう吐する人、黙り込む人
と記録されている。3週間後に2発目(リトルボーイ)が広島に、その3日後、3発目(ファットマン)が
長崎に。
 3発作るのに60万人と当時のカネで20億ドルを投入。物理学者・米沢冨美子博士の著作からの
引用です。
 研究を主導したオッペンハイマーはあまりの罪科に水爆開発に反対し、ソ連のスパイの嫌疑を。
アインシュタイン、ニールス・ボア、マイトナーなど著名な原子物理学者の痛恨の思いは、現代に
及びます。早く、「パンドラの箱」へ戻して封印して、神の元へ。

 






 

セミナーのレジュメです。

 

 

 



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