WEB金蘭会
金蘭会セミナー


第158回
平成24年5月18日(金)

演題
平安時代の税と暮らし
講師
永松圭子氏(昭和46年卒)
神戸女子大学大学院非常勤講師 文学博士
 


講師

永松圭子氏 プロフィール

略歴:
 昭和46年 大手前高等学校卒業 
 昭和50年 大阪大学文学部史学科卒業
 平成2年  大阪大学大学院文学研究科後期課程 単位修得退学
 

 大阪市立中学校教員・豊中市市史編さん課、
 園田学園女子大学および 関西学院大学非常勤講師を経て、
 現在神戸女子大学大学院非常勤講師。文学博士。

 著書 『日本中世付加税の研究』(清文堂出版、2010年)



















セミナー後の懇親会での お弁当と
季節の本格和菓子です。

第158回金蘭会セミナー 感想文


(感想文 新田庸子 昭和46年卒 )

 私は、講師の永松圭子さんとは同学年で、2010年に立派な『日本中世付加税の研究』
(この本は大阪府立図書館の蔵書となっています)という本を出版されたことも知っていました
ので、ビジターとして聴講しました。

 また、私の名前が難しく珍しい「庸子」と言う字で、律令制下の税負担である租・庸・調の
庸と同じなので、昔は「どんな字のヨウコですか?」と問われると、「中庸の庸と書きます」と
言って通じない場合は、「租庸調の庸です」と答えておりました。(今の若い方にはほとんど
通じませんが) そんなことからも今回のセミナーには親しみを感じていたのです。

 細かいことは省きますが、例えば中世期の富 豪層の出現や、国の役人(郡司)が恣意的
に富を蓄積する様子が、漢文の読み下し文でレジュメに表記されているので、何やらその
時代にタイムスリップした様に感じました。

 8世紀には戸籍に登録された成人男子に課税されていたため、重い税負担に対する民衆
の抵抗として女性だらけの戸籍が多数見られたとのお話も面白かったです。

 最も興味深かったのは、869年に東北地方を襲った貞観地震・貞観津波の記録です。私の
日常生活では全く目にすることもない漢文と読み下し文がレジュメにあり、永松さんの説明を
聴いていると、それは全く昨年の東北大震災と同じ光景でした。(東京電力は実は貞観地震・
貞観津波のことを知っていたにもかかわらず隠していたと、新聞かテレビで聞いた記憶が
あります)

 学生時代の授業を聞いているような、楽しい知的好奇心をかきたてるお話でしたが、出来
ればもう少し長くお話を聴きたかったという感想をたくさんの方が感じられたことと思います。

 本当に有難うございました。


       


(感想文 好井佳奈  昭和46年卒  )

 税のお話し、特に付加税のお話でした。律令制下の租庸調からはじまり荘園公領制(近
年は、当時公領も半分は残っていたので「荘園制」とは言わず、荘園公領制と言うそうです)
の年貢まで。

 主要な税以外に律令制下では 供給(クゴウ)・前分(マエブン・サキブン? 読みは不明)・
耗分(コウブン)があり民は苦しんだこと、富 豪層が出現し課税対象が人(男子)から土地へ
と移っていったこと、税も租庸調→官物・臨時雑役→荘園公領制では年貢・公事となった
ことなど、年貢付加税としては口米などがあったことなどを分かりやすく説明いただきました。
 
 歴史を考察するうえで付加税も含めて考察すべきとのお話でした…全てレジュメを見て
書きました。

 ところが、頭に残っているのは、

○供給(中央の使者が地方に赴き現地で饗応等されること)は中国の律令では禁止されて
  いた…中国って昔から贈り物大国?

○課税は男子に行われていたので戸籍には100歳を超える長命の女性がいた…昔から
  税逃れは大変だな!

○気候の変動が歴史を変えるとのくだりで貞観地震の説明…フムフム貞観地震から西日本
  地震(大阪湾に津波到来)まで18年間がある (^_-)-☆

 机を離れて早36年、久しぶりの講義に感激の1時間でした。また、同年の永松さんが現役
バリバリなのもうれしい(羨ましい)限りです。

 食事会では、46卒が集まりもっと話が聞きたいナとの意見続出です。2回目の講義も宜しく
お願いします。

 楽しいひと時をありがとうございました。

 


 

 

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ページデザインS53年卒岸政輝 & ページ作成S50年卒谷村瑞栄