「南の島に魅せられて潜りあるいて324本(回)、魚不思議発見!」
案内のお葉書をいただいたときから、大!好きな海の話とあって、とても楽しみにして
いました。
セミナーが始まる前に少し、講師の小林邦雄先生とお話させていただく事ができました。
小林先生は気さくな方で、初めてお目にかかる私にとても親切に、持参のたくさんの機材の
説明(特にビデオカメラについてはとてもためになりました。)や、お勧めポイント(潜る場所)
などを教えてくださり、ますます楽しみになりながら席につきました。
さて、肝心のセミナーのお話は、軽妙な口調でのご挨拶、自己紹介から始まり、まずは
スクーバダイビングをしているといえば、十中八九訊ねられる、「サメに襲われないか?」
「大きな貝に挟まれないか?」という疑問を解消するために映像を交えてお話くださいました。
潜っているとサメがやってきて人間を襲うというのは、映画「ジョーズ」の影響が大きく、
実際にはサメが人間を襲う事はほとんどありません。それを証明しましょうと、なんとサメに
餌付けをしている様子を小林先生自身が撮った映像で見せていただきました。
目の前をサメが泳ぎ、ダイバーが手に持った餌を上手に食べる様子は、「サメ=怖い」と
いう固定観念を覆すものでした。実はサメにとって人間はおいしい獲物ではなく、目が悪い
サメは、漁をして腰などに魚をつけていたり、水面でバタバタと泳ぐ水音をきいたりして、
弱った魚がいると勘違いして食べに来たら、たまたま人間だっただけ、ということでした。
また、貝にしても大きなシャコガイなどは外套膜が邪魔をして完全には閉まらず、はさま
れる心配はないそうです。
次に、魚の不思議な生態についてお話くださいました。共生するイソギンチャクとクマノミ、
ハゼとエビ、大きな魚に接近しながら、食べられもせずにクリーニングしているエビや
ホンソメワケベラ、外に出て行くよりは食べられる確率が低いという事で、食べられつつも
一緒に生活しているアザハタとキンメモドキ、海中の生存競争に打ち勝つために強い固体に
擬態しているカニハゼや、ウミシダや海藻などに擬態する魚たち、小林先生の撮影された
美しい海中の映像とともに説明されました。
いつまでも見ていたいような映像でしたが、時間が迫りつつあり、スクーバダイビングに
ついての説明に入りました。これもよく言われることながら、ダイビングで使用するタンクに
ついてです。
マスコミでさえ、酸素ボンベなどと間違った表現をしている場合があるが、ダイビングで
使用しているものは圧縮した空気の入った「タンク」であるという事。そして、それを1回の
ダイビングに1本用いる事から、ダイバーたちは自分たちの経験回数をタンクの本数で○本
潜ったと表現するという事です。
演題の324本というのは小林先生のこれまで潜ってこられた回数であり、ここに「本」が
使われているのはこういう理由ですよ、という事でした。
そして、今まで潜った場所やお勧めポイントをお話され、世界中を潜ってこられた小林先生
ならではのエピソードを披露されました。
最後にダイビングにまつわるよもやま話の中で、ダイビング年齢について話されたのですが、
下は6歳から上は90歳を越えるまで、幅広い年代の方が楽しんでおり、特に年齢制限はなく、
自分が潜れるうちはいくつになってもずっと潜れるという件ではセミナーの参加者にちょっと
ざわめきが起こりました。
特に90歳を超えて潜っておられる方がいるという事実にはほんとうに驚かされました。
日本人は旅行に行っても、観光や買い物に明け暮れて忙しいけれど、ダイビングは
本来の意味のリゾート(保養)ができ、毎日一所懸命働いて、「自分の時間を買う」ことが
大切だと仰った言葉が、とても印象に残っています。
まだまだ、たくさんのお話をされていて、どれもこれもとても興味深いお話でした。小林先生
の撮影された映像ももっともっと見せていただきたかったです。
忙しいを言い訳にダイビングから遠ざかっていた私ですが、小林先生のお話を聞いて、
俄然海に行きたくなりました。
本当に貴重な映像とお話をありがとうございました。