WEB金蘭会
金蘭会セミナー


第195回
平成28年2月19日(金)

演題
「超音波でがんを視る」
講師
田中幸子氏(昭和40年卒)
大阪がん循環器病センター所長
 


田中幸子氏 プロフィール

【経歴】

学歴    
1965年3月   大阪府立大手前高等学校卒業
1971年3月   大阪大学医学部卒業
1971年4月   大阪大学医学部第一内科学教室入局
1983年   大阪大学医学博士
(肝細胞がんの組織像と超音波断層像との対比)
     
職歴    
1971年4月   大阪大学医学部第一内科学教室 研究副手
1972年6月   大阪警察病院就 内科医員
1973年7月   同上 退職
1974年5月   大阪府立成人病センター レジデント
1975年11月   同上 技術吏員
1993年4月   同上 集団検診第二部消化器検診第一科部長
1997年4月   同上 検診部長 兼 同 消化器検診科部長
兼 同 精密健康診断科部長
兼 超音波検査室室長
2012年3月   同上 退職
2012年4月より   現職
     
主な研究内容    
    肝胆膵がんの超音波診断
カラードプラおよび造影超音波検査
肝癌、および膵がんの早期診断システムの開発研究
腹部超音波検診判定マニュアルのとりまとめ


 
















セミナー後の懇親会での お弁当と本格季節の和菓子です。


第195回金蘭会セミナー 感想文

(感想文 宮島一彦  昭和40年卒 )

 

 講師の田中(旧姓・尾山)さんとは1学年の時、同級でした。その田中さんがこんなに近い
ところで重責を担って活躍しておられるのを、うかつなことに知りませんでした。

 宇宙のことはマクロコスモス(大宇宙)、人体のことはミクロコスモス(小宇宙)とも呼ばれ
ますが、マクロコスモスのほうでは、手の届かない天体の真の姿を知るのに、それらから
送られてくるさまざまな波長域の電磁波や重力波やニュートリノなどを手がかりにします。
最近ではブラックホールの連星の合体の際に発せられた重力波とガンマ線バーストとが
検出されたことが話題になりました。

 ミクロコスモスのほうも同じなのですね。外からは見えない人体内部の様子を知るために、
光(内視鏡)・超音波(エコー)・磁気(MRI)・X線(CT)・アイソトープ・ポジトロン(PET)など、さま
ざまな手段が使われます。講師はその中でも特に、超音波大好き人間なのだそうで、
講演でも超音波診断の利点や適した対象をいくつか挙げられ、その画像をどのように読み
解くかについて、わかりやすく説明されました。

 われわれの世代にとっては特にそうですが、若い皆さんにとっても、健康と病はもっとも
大きな関心事だと思います。「がん」はその最たるものですが、エコーではカラードプラ法が
威力を発揮するということを、画像を示して説明していただきました。

 宇宙空間は音波が伝わりませんし、長さのスケールの理由もあって、電磁波(光速)に
おけるドプラ効果が使われますが、人体の場合は超音波(音速)に対するドプラ効果が使われ、
血流の向きと速さをカラー画像で表示することにより、多血性か乏血性かで、腫瘍の種類を
区別することができるというお話でした。

 講師がこのところ研究されている膵臓のがんについては、小さい時は特にCTよりエコーの
ほうが有利だそうです。膵がんは近年死因に占める割合が増加しており、致死率も高いので、
質問にも取り上げられ、それに対して、(奥まったところにあるため、というのは容易に想像が
できますが)臓器そのものが小さいため、発見できるほどの大きさになった時には治療が
難しいステージになっている場合が多いことなどについて補ってくださり、とても参考になりました。

 胆管がんについての質問に対しては、しこりを作るタイプは見つけやすいが、管に沿って
広がるタイプは見つけにくく、最後に残った難問であるとのお答えでした。

 田中先生のような方がおられるだけで、なんだか、ほっと安心した気持ちになれます。今後も
われわれにとって頼りになる優れた診断法・治療法を発展させていっていただきたいものです。

 

 

 

 

セミナーの資料です。クリックで拡大します。

















































 


ページデザインS53年卒岸政輝 & ページ作成S50年卒谷村瑞栄