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金蘭会セミナー


第216回
平成30年3月23日(金)

演題
「新聞1面コラムの世界」
講師
真田正明氏 (昭和50卒)
朝日新聞論説委員
 



経歴:
1975年   大手前高等学校卒業
1980年   京都大学文学部哲学科卒業
    朝日新聞社入社
     名古屋社会部、東京社会部、警視庁キャップ、
     プノンペン支局長、ジャカルタ支局長、バンコク総局長
     名古屋本社報道センター長、論説副主幹など歴任
2010年11月    
〜2018年3月    「素粒子」を執筆。




















第216回金蘭会セミナー 感想文

(感想文  橋爪貞治  昭和31年卒)


  私ごとで恐縮ですが、毎年秋に親しい友人8人で旅をすることにしております。昨年はズバリ東京でした。たまたまなのか 私たちのスケジュールに合わせてくれたのか、トラさんが来日中で 都内はそれはそれは厳重な警備体制がしかれておりました。

 翌日 私たちは朝日新聞東京本社を見学いたしました。小学生の団体に混じっての老人グループは異彩を放っていたようでしたが、夕刊 『素粒子』 担当の論説委員 真田正明さんに面談をお願いし、気軽に応じていただくことができました。
 
  さて このところ新聞・テレビ・ラジオ・インターネットなどメディアはモリカケ問題、米朝首脳会談、日本大学アメフト事件など不毛な話題でもちきりです。財政再建や少子化問題、年金・福祉といった我が国根幹の問題は片隅に追いやられたままです。

  公文書改ざんや廃棄、ウソで鎧った高級官僚の国会答弁、、、、それにも増して閣僚達の無責任さに私は暗然とし、民主主義に絶望、などど大上段に振りかぶるつもりはありませんが、ただただ イライラ感を募らせるばかりです。

 このようなときにコラム 『素粒子』 を読むのが楽しみです。痛切な切り口で世相を ”斬る!”  アイロニーに富んだ文章は “寸鉄人を殺し” かねません。

 一服の清涼剤と申しますか、わが意を得たりと快哉を叫び、そして溜飲を下げているのです。血祭りにされた相手の表情を頭に描いて にんまりするだけでも楽しいですね。もっとも赤服隊の影がチラと脳裡をかすめないことも無くはありませんが…。

 あらゆるジャンルの膨大な情報を理解し 観察しその中からエッセンスを抽出する判断力、そして文章をまとめる力が求められる高度で知的なお仕事であることは言うを待ちませんが 大切なことは読者を惹きつける魅力ですね。

 ところで般若心経は “最強の276文字” といわれます。みなさん 『素粒子』 は何文字がご存じでしょうか。150文字ですよ。普段何気なく読み過ごしていますが これは並大抵なことではありませんよ。しかも毎週6日ですからね。

 科学の世界では、原因と結果があって できた物質は徹底的に分解していきますと電子・素粒子に辿りつくといわれています。 仏教でも “極微(ゴクミ)” という呼び方で2500年の昔から認識されているようです。コラム 『素粒子』 もそのように世相を徹底して詰めていけば “最強の150文字” に至るのだろうと私は思います。

 3月23日のセミナーから旬日を経ずして 執筆者交代の社告に接しました。真田さん7年間ご苦労様でした。最後の日、31日の 『素粒子』 の一節を拝読して私は胸を打たれました。ここに再現してみましょう。

  “願わくは花の下にて…こよい満月、退くには好日、欠けたることばかりの7年あまり ご愛読感謝します”と。

  西行法師の心境ほど深刻ではないでしょうが、私は真田さんを存じあげているわけでもありませんが、いかにも謙虚なお人柄が滲み出ているように思います。確かその日は満月 しかも桜花爛漫でしたね。舞台装置が整っていたようでした。

  国際関係の社説を担当されるようですが、『素粒子』 の老愛読者として、真田さんのますますのご活躍を願うばかりです。

 

 


 


ページデザインS53年卒岸政輝 & ページ作成S50年卒谷村瑞栄