WEB金蘭会

金蘭会セミナー


第82回
平成16年10月15日(金)
演題
白内障、老眼は怖くない
講師
岡本 直之氏(昭和50年卒)
おかもと眼科クリニック院長、元北野病院眼科副部長

ゆっくりと相手に伝わったかな、と確かめるような語り口でとてもよく解る講義でした。
眼科に来る患者さんのうち同じ訴えでも意味が違う。見えないといいながら一人で歩いてくる人も。光が分からない人から、メガネをはずしていると見えない人まで。 眼球の直径は意外に小さく2.4cm。みんなの予想はそれより大きかった。また赤ん坊の頃の水晶体は外へ出すと球形になる。
目が脳の一部である、という言葉には衝撃を受けた。
この中で危険なものは変視症と視野狭窄。その他のものはそれほど気にしなくてもいいものが多い。
眼科に行く必要があるのは、「片目」「急に」異常を感じたもの。
屈折異常は眼科では病気とはしていない。ただ自分では気付かないこともあるので、時々検診を受けるとかして注意したい。
左の二つの図の一番下がどちらも正視。
近視は眼軸長が長く網膜に届く前に焦点が来るから凹レンズのめがねをかける。
老眼はその逆である。
右の図のエピソードで「講演会のスライド」とあったのは、なるほどとうなづけた。
この画像がピンボケで申し訳ないが、「モノビジョン」という言葉を見て欲しい。
片目を近視片目を遠視(老眼)状態にするというもの。これは合う人と、合わない人とがあるらしい。合う人にとってはとても快適らしい。片目にコンタクトを入れるのだ。
多焦点コンタクトとか眼内レンズはまだ試行錯誤の段階。
眼球内を満たしている硝子体は99%の水分と1%のコラーゲンで出来ている。そのコラーゲンが加齢とともに縮んでくると硝子体の後ろの膜が剥離してくるそれが飛蚊症の原因である。これは白髪になったり皮膚にシワが出来てくるのと同じだと考えるといい。 40歳過ぎてまぶしく感じるようになると白内障が考えられる。これも飛蚊症同様老化現象の一つだと考えるしかない。
ライトを見たときまるい傘のようなものが見える虹視症の場合もある。
今年11月に開業ということで一番忙しい時期に講義をして下さったことになる。
写真で解るように椅子を取り除くとダンスホールになる。岡本氏は学生時代ダンスで賞を取られたことが何度もあるらしい。
そういえばとても姿勢がよかった。
岡本氏は、京大医学部卒業後、医学部としてはハーバードに次ぎ全米第2位と言われる優秀なジョンズ・ホプキンス大学の研究所に席を置いておられた。そのとき奥様も「ペイシェント・コーディネイター」としてそこで働いておられた。それは患者と医師、医療スタッフとの間を取り持つというか、いい関係を持つことが出来るように間に入る人のこと。この奥様の書かれた本を読んで「日本の医師でベッドサイドマナーのいい医師がどれほどいるのだろう」とおもった。「思いやりをもって患者の対応に当たれる医師」というのが「ベッドサイドマナーのよい医師」というわけである。
しかし、これだけは言える。岡本氏はベッドサイドマナーの良い、ダンスの上手い眼科医であることはまちがいない。

ページ作成 S53年卒岸政輝 & S45年卒辻岡由起