小林 哲也氏 |
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まず大手前時代の思い出をお聞かせください。 ご参考にと思いましてアルバムを持って参りました。 クラブは何部でしたか? 私は剣道部の一期です。大手前に剣道部って無かったんですよ。 中学では、進駐軍の禁止令があって剣道部は無かったので、竹刀競技部に入っていました。つなぎのフェンシングみたいな防具を付けて、振るのは竹刀です。高校に入って、友清君や中村君から、「剣道部を一緒に作ろう」と誘われ、校長先生の所にお願いに行って、剣道部を初めて作りました。 中学はどちらですか? 東中です。 成績が優秀だったのですね。 いやいや。僕は、小さい頃はわんぱくでいたずらばっかりやっていましたからね。親が「地元の中学ではいかん。東中学は比較的おとなしいから、あそこへ行け」というわけで東中学校へ行きました。勉強した記憶はあまり無いですね。剣道の練習をして、食べて、そのイメージしかないです。 弁当はもちろん持って行くのですが、さらに練習前に食堂でうどんを食べて、練習が終わってからは、“ぼん繁”へよく行ったものです。 お好み焼き屋さんですね、今でもありますよ 剣道は何段ですか? この時、初段でした。横に府庁があり、その府庁の先生に教えてもらっていました。道場は大手前高校にはまともなのがありませんでしたからね。床の固い講堂みたいなのがありましたけど、あそこで剣道をすると足を痛めるので、府庁のクッションのある剣道場で府庁の吉岡先生や辰巳先生に教えていただきました。機動隊との合同練習もやりましたけれど、機動隊は荒い剣道で、しこたまやられましたよ。 すごいですね。大手前時代はどんな生徒でしたか? 完全な硬派でした。丸刈りで、もちろん学生帽はしっかりかぶっていましたよ。 当時は、学校の校門の所で、先生が帽子をかぶっているかどうかをチェックしていましてね。私はもう家を出た時からかぶっていましたが、軟派な連中は、帽子をポケットに入れていて、校門に近いところで出してポッとかぶって、入ったらまた脱いでまるめていましたね。剣道三昧でしたので、後は食べた記憶だけですね。まあ、スキーや登山はよくやりました。 ご兄弟は何人ですか? 男ばかりの3人兄弟で、高校は皆別々でした。父の方針で男は武道をやれということで、僕は剣道で、1人は合気道、もう1人は柔道をしていました。 いいですね、お母様はそんなりっぱなお子様を持たれて いや、おふくろには悪い事をしたと思っています。男ですからあまりおふくろにベタついていかないでしょう。どちらかというと、親父と親しかったので。おふくろの方に行って、話をしたりしたことが、あまりないですね。だからおふくろはひょっとしたら寂しかったかな?という気はします。 でも優秀な坊ちゃんですよね。 いえいえ、校内に試験の成績を貼るでしょ。あれが嫌で、「なんでこんな事するんだ」と思っていましたよ。 私らの頃は貼られたんですよね。 そう。ああいうのは良くない。会社では、ああいうことはしません(笑) では卒業の時、将来は何になりたいと思っておられたのですか? 大学卒業の時は、まだ何になるとか、そんなしっかりした考え方はありませんでした。ただ、当時は世の中で政治的にいろいろな動きがありました。例えば安保の改定とかもあって、政治に対してすごく興味を持ちましたね。 政治経済学部ですものね 政治家になろうとか、そういう明確な意識は無かったのですが、興味があったので政治に関する本を読んでいましたね。 そうですか。じゃそれが何故近鉄さんに? 親の家が近鉄線の学園前で、当時、開発があちらこちらで進んでいました。経済も拡大期に入っていましたから、鉄道沿線の住宅開発が盛んに行われているのを見て、「沿線開発は面白そうだな」と思いました。近鉄というのは開発も、流通もやっているし、その基盤となる鉄道の沿線はしっかりしている。その他に旅行やホテルなど幅広い事業があって、総合的に展開している点で、「自分のやりたい仕事に一番近い。」と考えましたし、さらに長男なので、「鉄道は遠隔地への転勤が無いだろう」とも考えて選びました。 ご実家はお商売をしておられたのですか? 事業をやっていました。それは2番目の弟が継いでいます。 入社試験は何社か受けましたが近鉄の発表が一番早かったです。 ただ、運命的なこともありました。近鉄の試験は、東京と大阪でありまして、学校が東京ですから、東京で受ける予定だったのですが、それがこちらの都合で受けられなくなったんです。それで「非常に残念ですが、受けられなくなりました」という連絡を人事部にしたところ、「そういう事なら、大阪で最後の採用試験をするから、その時受けに来ますか?」と言っていただいて受けることになりました。数日後に発表があり、「受かったから来なさい」という事になったのです。そのまますっと近鉄に入りました。 運命ですよね、それが。 何か成り行きというか、流れというか、やっぱり人生はそういうふうな流れや勢いで、すーっと行くところがあると思いますね。 次ページへ> |