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関西電力社長として




京大を卒業されて、どうして関電を選ばれたのですか?

就職する時、当時はメーカーさんとか、いろんな所へ実習に回っていまして、先輩方からいろんな話をお聞きしていました。私が就職活動をしていた頃というと、日本の戦後の復興期、ちょうど勢いの出てきた時分で、電力不足がとても深刻だったんですけれども、そんな中で、関西電力に勤めている先輩から、電力不足を解消するため全社一丸となって、黒部川第四発電所、いわゆる「くろよん」を建設しているという話を聞いたんです。これから日本が成長していく中でやりがいのある仕事だからおいで、と随分勧められましてね。それで電力会社、できたら関西の勤務の方が良いなということで、関西電力を選びました。

そうですか。そしたら望みの会社へ入られて、で、社長まで行かれて、すごいですね。

関西電力の社長として、特にどういう思いを持って仕事をされておられますか。


そうですね、電気というのは、ご承知のように皆さんが日常生活を快適に過ごすうえで欠かせないものですし、また、いろんな産業の基盤を支えるもんですよね。そうした電気を安全で安定して送るというのが、我々の使命でしてね。だから、安定供給を全うするのが一番大事なことだと思っています。
また、近年は電気だけでなく、ガスや光ファイバーを使った情報通信サービス、さらには、ホームセキュリティとか皆さんの生活の基盤を支えるような事業を関西電力グループ全体で展開しています。が、いずれにしても、それらは全部、人がやるわけです。だから、人を大切にすると言うか、皆が働きやすい環境を作ってですね、皆ができるだけ、やる気、やりがいが出るような、そういう雰囲気を、これは仕組みも含めてですけれども、いかに作っていくかということが大変大事だと考えていまして、それを実現することが、今の一番私の大きな仕事かなと思ってやっています。

今、自由化などで、電力業界も大変なんじゃないかなと思うのですが、そのあたりいかがでしょうか。

そうですね。電気事業は2000年頃までは完全な地域独占でやっていたわけですけれども、今は自由化になっていましてね。しかし全てが自由化されているのではなく、一般のご家庭は、関西電力の電気ですが、高圧6000ボルト以上の電圧のお客様、具体的には工場やスーパーなどは全て自由化になっていまして、そこのところでは、新しい事業者がライバルとして入ってきて、競争しているんです。しかし、そうした別の事業者から電気を買っておられるお客さまも、送電線とか配電線とかの流通設備は、全部我々の設備を使っていただいているんですね。しかも、お客さんに電気が届く時に、停電が起こったりするのは、そういう流通設備に雷が落ちたりしてトラブルが起こることが一番多いんです。先ほども申しましたように電気は生活や産業活動に欠かせないものですから、当社の電気かライバルの事業者の電気かに関わらず、とにかく電気を安定的に送る、我々はそういう使命を担っているということを、どんなに厳しい競争時代になっても、忘れずやっていかなあかんと思っています。

昔は停電ってよくあったように思うのですけど、最近停電なんてないですね。

それは、ほとんど感じないと思いますね。今停電したら大変ですよね。停電しないものという前提でいろんな仕組みができていますからね。停電しないようにするため、それなりの努力をしているつもりです。

本当に大変なご努力だと思います。
電気、ガス、水道などライフラインのうち、震災などの時に一番復旧の早いのが電気ですよね。

阪神淡路大震災のときには、一週間で送電が可能なところは全て応急送電しました。家が潰れたり、ご家族が怪我をしたり、お亡くなりになられたりという人も社員の中にいたんですが、被災された方々に少しでも早く安心してもらおうと、自分のことはさておいて電気の復旧に向けてまさに全身全霊で頑張ってくれたんですね。本当に頭が下がる思いがしました。そういう使命感は絶対に無くさないようにしていかないかんと思いますね。

経済発展と共に電力はますます使われますが、一方環境問題でCOを出さないように要求されていますね。それに対して原子力発電がありますが、これもまた将来、原子燃料の後処理の問題もあり、それにいろんなエネルギーの多元化とかありますね。これらは、どのように進めていこうとお考えでしょうか?

地球環境問題では、CO以外の温室効果ガスもありますけれども、COがその大勢を占めるわけです。出来るだけ発生量を抑制していくには、もちろん太陽光とか、風力とか、そういう新エネルギー利用技術の開発もやっていかなあきませんけれども、これらはまだ量的には知れてますから、今はやはり原子力をやっていかなければならないと思っています。この原子力を推進していくためには、まずは安全に運転するということが大切ですよね。それから、いわゆる原子燃料のリサイクルをですね、これは青森県の六ヶ所村でやろうとしていますけれども、これを早期確立に向けてきちっとやっていくということと、併せて核不拡散をきっちり保障できるようにせないかん。そのなかで我々電力会社が今一番しっかりやらないといかんのは、やっぱり、今の原子力発電所を安全に安定して運転することによって皆さんに原子力に対して確固たるご信頼をいただけるように努めることです。これをきっちりコントロールするのが、技術であったり科学であったりするわけであって、今の科学技術の力で原子力発電所は十分に安全に運営できると確信しています。

今、割合としては何パーセントくらいでしょうか?また関西電力では、多い方ですか?

多い方ですね。平成18年度の実績で言うと、当社の発電電力量の半分以上が原子力です。ですが関西エリア全体でいうと、よそから買ってくる電気もありますから、それらを併せると、41パーセントぐらいですかね。また、地球環境問題への対応としては、原子力以外にも、例えば火力発電所でも効率を上げるための対策。これも非常に重要です。例えば、新しい技術で、効率を上げることによって、燃料の使用量を減らすとともにCOの発生量も減らすという、そんな取組みも並行してやっています。

二酸化炭素の地下固定という取り組みもされてますね。

これは、研究はしてますけどね。現在の技術レベルではものすごい費用がかかりますけれども(笑)。しかし、これは将来的にはやっていかないかんことで、そのためには国のリーダーシップが大切だと思っています。もちろん我々もやっていきますが。

社長になられてから、心がけておられることって何かあるのでしょうか?

そうですね。経営に対する私の思いをしっかりと着実に実現していくためにもいろいろやっています。なかでも、私が一番力を入れてやっているのは、第一線の職場とのコミュニケーションです。第一線職場の皆さんがどう考えて、どういう課題や悩みを持っていて、何に困っているか、ということを直接聞くということと、そういう第一線で頑張ってもらっている人たちに私の思いを直接話する、ということをやっています。
普通でしたら、挨拶したら、幹部とか集めて懇談とかという感じなんでしょうが、そんなんじゃなしに、挨拶したらその場で私にいろいろ質問してもらって、その場で答えるということをやっています。こうしたことが一番自分の思いを第一線職場の人たちにも分かってもらえ、私自身も第一線職場の人たちの思いを理解できる一番の近道なのではないかと思っています。
平成17年6月に社長になって2年ちょっとになるんですが、100回を越え、ほとんどの事業所を回りました。2008年からは二順目になりますが、これからもできるだけ時間を見つけて、続けたいと思っています。

そうですか。それはいいことですね。

当社は電気という商品を第一線職場の皆さんをはじめ全社員が力を合わせて作っているわけですね。ですから、全社員が同じ思いでもって頑張っていけるよう、私自身もいろいろと努力しています。

大変な難しいことだと思いますが、そういうことを社長がなさるのは、すばらしいと思います。

そういうことと、情報の共有化にも力を入れています。それぞれの立場で、全員がなかなか共有できない情報もあるんですが、出来るだけ多くの情報を皆で共有していくよう、いろんな機会を通じて訴えています。

でも社長がそういう思いでいらっしゃるということは、やっぱり下にも伝わるし、良いと思いますね。

それと、もう一つはスピードですね。「第一線職場とのコミュニケーション」「情報の共有化」「スピード」、この3つですね。特に心がけてやっているというのは。

都市景観の問題として、電線の地中化が言われていますが、それについては?

一定の量の地中化は、計画的にやっているんです。ですが、いっぺんに全て地中化するというのは、いろいろ難しい面もあるんですね。こうした道路の景観問題というのは、道路の整備と関係していて、道路を整備しないことには、なかなかできないんですよね。例えば、新地の本通も、地中化していますが、あそこも道路を整備して歩道を作ったりして、初めてできるんですね。そういうことで国土交通省や各自治体等と連携を取りながら、徐々にではありますがやっています。また、先ほど申し上げた、阪神淡路大震災のとき電気の復旧が早かったというのは、一つは、地中に入っている部分が少なかったこともあるんですね。そういったことから、全部が地中というのではなく、大通りは景観を重視して電柱をなくすが、路地とかは従来どおり電柱で電気を送るとかですね、そうした全体のバランスを大事にしなければならないと思いますね。トップダウンで、ぱーっと何年以内に全部どうのこうのする、というようなことはしていません。いろんな皆さまとお話し合いをしながら、長期的なビジョンを持って計画的にやっています。

高級官僚などでは一般事務職がトップに立ち、技術職はネクスト止まりということが多いのですが、専門に深く入り込んでいる技術系社員の方々も大切ですよね。そうしたなか、関西電力では技術の森社長がトップに立っておられますね。

社員の皆さんには、自分の専門の知識や技術をフルに活かしてもらって、我々経営層もそれをちゃんと評価して、さらにやる気やりがいを持ってもらうことが大事だと思っています。とりわけ当社の技術系社員というのは、電気をきちんと送るのは当たり前のことで、目立つ時といえば何かトラブルがあって、非難される時なんですね。そういったことから当社では、これまでの制度に加え、高い技術を有する人を専門技術・技能者と認定して、やりがいを高めていくとともに、技術をしっかりと継承してもらおうという制度を、最近設けました。
ただ、技術系事務系を問わず、副社長とか、常務とか部門のトップやリーダーになる人はやっぱり、視野の広い人になってもらいたいと思っています。例えば研究開発部門という大くくりの中でのトップに立つ人が、自分の専門のところだけに予算を配分するとかする人では困りますよね。全体のバランスを考えてちゃんとやれる人であることが大切ですよね。



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ページ作成 S53年卒 岸 政輝