国際グリム賞

第17回贈呈式

日時
2019年11月9日(土)
場所
国民会館武藤記念ホール
受賞者

三宅興子氏 -Prof.Okiko Miyake

プロフィール

三宅興子氏は、1938年に大阪で生まれ、大阪市立大学大学院修士課程終了後、1960~83年に大谷女子短期大学で、1983~2007年に梅花女子大学で教鞭をとり、2007年に梅花女子大学名誉教授になる。

国際的な児童文学、絵本の優れた研究者であり、多様で国際的な児童文学研究活動を積極的に組織・運営してこられた。

1983年『児童文学はじめの一歩』は、日本児童文学学会奨励賞を受賞し、1993年に日本初のイギリス絵本の通史『イギリスの絵本の歴史』は、日会本児童文学学会賞を受賞するなど、多くの著作があります。

また、多くの研究プロジェクトも立ち上げ、日本の研究者に世界への目を開かせる指導を行ってきました。それらの成果には『アメリカの児童雑誌「セント・ニコラス」の研究』(1987年)もあります。絵本学会会長、日本イギリス児童文学会会長を歴任し、大阪国際児童文学振興財団の創立から評議員として関わり、2010~2015年に理事長を務めました。

贈呈式

第17回国際グリム賞贈呈式および記念講演会が国民会館武藤記念ホールで176名参加のもと行われました。今回は三宅興子梅花女子大学名誉教授・一般財団法人大阪国際児童文学振興財団特別顧問が受賞されました。当日は、大阪国際児童文学振興財団 宮川健郎理事長の挨拶に続き、金蘭会会長兼(一財)金蘭会理事長 石田良一氏から、三宅教授に正賞の楯および副賞百万円が贈呈されました。

続いて、来賓の大阪府教育庁 向畦地昭雄教育監からお祝いの言葉が述べられ、三宅教授からの受賞の言葉をもって贈呈式は終了しました。受賞のことばのなかで三宅教授は、本賞には創設の時から関わってきており、自身が受賞の栄誉に預かったことへの謝意を述べられるとともに、今後とも児童文学研究発展のために尽力すると表明されました。

記念講演

三宅教授から「イギリス児童文学史再構築論を通じて、日本児童文学を再考する」と題する記念講演があり、イギリスを中心とした児童文学の研究、英語圏を中心とした比較児童文学、イギリス絵本の通史や日本における子ども絵本成立史の研究など、自らの研究生活を振り返りつつ、大人の思う良い本と子どもの思う良い本との違いや教育性と娯楽性の関係などにも触れられました。

また、各地域での文庫活動やイギリスでの日本の絵本原画展開催、国際的なシンポジュームの開催など、実践的な活動も紹介され、最後に「いつまでも子どもの本の愛読者であるとともに、次世代の読者に手がかりを残したい」と抱負を語られました。