WEB金蘭会













参議院予算委員会


中国訪問


















































































































大手前高校
佐々木静子文庫




インタビュー2
 
参議院議員当選


参議院に社会党で出られたお話をおねがいします。

わたしは社会党員ではなかったが、 当時、弁護士会の考えている事と日本社会党の考えている事が一致していた。 そして本来は亀田得治という社会党の議員が大阪弁護士会から出ていて、国会と日弁連のパイプ役だったんです。 亀田先生が3期目やってて、それが急に病気で倒れて、出馬できなくなった。 亀田先生が私を推されて、女性弁護士で八海事件で丁度名前売ってるし、 NHKのテレビにレギュラーで出てたんです。それで、大阪弁護士会や日弁連もぜひ出てくれと。 大阪は3人区だったわけです。通る通るとみんな言うてくれるはるから、 通るんかな思って呑気に出て通ったんですけど、 後で聞いたらね大阪はね前の人も落ちてるし、今度も落ちるに決まってたんだそうです。 6年間の任期は、ほんとに私は充実していたと思います。260何回も国会で質問して、 議事録集も何冊も有ります。今でもすごく役にたってるんです。議員立法もずいぶん作りましたしね。

ご活躍はテレビでいろいろ質問なさるお姿を拝見しました。

6年間やってよかったですね。 国会対策委員や委員長もやったからいろんな裏も分かりました。

政治のことはどう思われますか。

自分はもうやろうとは思わないけれど、議員立法の法案を作るのは、楽しかったし、 その提案した法律案を如何に通すか、又は、如何に修正するか、非常に苦労したが 面白かった。当時、私の担当していた参議院法務委員会は、与野党 同数、公明党は社会党と同一歩調だった。社会党に力があったから、政府自民党も、 こちらの云うことを聞かんと、仕事が出来ないことがあった。 私が野党の筆頭理事として、かなり信ずることを通すことが出来た。だから 婚氏続称などの民法を改正をし、妻の相続分を3分の1から2分の1にふやす 相続法の改正を実現させることに漕ぎつけることも出来たし、商法の大改正の政府案に、 こちらから四つの修正案を出し、法律として成立させることも出来たんです。  

今話題になっている裁判員制度について何かお考えをお聞かせください。

私はね、国民が裁判に参加するということはかねてから良いことだという風には考えていたんです。 しかし、ちょっと拙速すぎますね。アメリカですら事実認定だけですからね。 量刑はやらないんですからね。 悪い事ではないいんですが法律家よりも一般の方、特に女性の方が正義感が強いわけです。 だから悪い事をした人にはきつく罰するのが正義だという考え方が法律家よりも強いわけです。 法律家の場合はね何で彼がそういうことやったかということに重点をおくわけです。 刑罰の意味を罰するということよりも悪い事をした人を更正させて、 社会のために使おうという考え方が強く、基本的に違うわけですね。だから今のままで裁判員制度を やるのは無理ではないかと思いますね。 わたしは今のやり方ではどうかと考えますね。裁判員制度自身は良いんだけどね。団藤重光という東大の有名な刑法学者、 私も心酔していてもう百歳近くになっておられますが、この間お手紙をくださってね、 「やっぱり日本は死刑を廃止したのちでないと裁判員制度を取り上げるべきでない。」と。

いま日本人はね、悪い人がいっぱいいるのに死刑をなくしたら大変だと言う考え方が80%以上なんです。 でも世界的な趨勢としては、死刑全廃です。今死刑制度の残っているのは、 北朝鮮、中国と日本とアメリカのうちで一部の州です。 それで、国連から何回も日本が文明国の中でなぜ死刑を残しているかといわれているが、 日本人の国民感情からは死刑はおいとけとか、悪い人間は極刑にせいとかの意見の方が多いですね。 また裁判員の方に迷惑かけたらいかんから3日間で裁判をやるでしょう。そんなのねえ、 八海事件なんかで冤罪の人の無罪判決を取るのに17年間かかったんですよ。 松川事件も 無罪取ったけれども、あれも大変な年数。徳島ラジオ商殺しなんてものすごくかかったのですよ。 3日でやるんですからね。それはちょっと無理と思えるのです。

皆、正義感から真面目に考えて死刑にしないと公正に反すると思うんですけど。 やっぱりちょっと問題だと思いますね。それと職業的訓練を受けているから法律家は 自分で職業上知ったことはこれは死ぬまで墓場の中まで持って行き、 裁判で知り得たことは、家族にも言わない、これが法律家の鉄則です。 それだからこそ法律家の誇りでもあるわけです。でも一般の方にそれを強要するのは無理だと思います。家に帰ったら  奥さんが「どうだった」と聞くだろうし、職場では「どんなやったか」っていわれたらついしゃべると思いますよ。 それを言うなというのは無理だと思いますよ。

難しい話からころっと変わって、先生が今もなお現役としてご活躍できる秘訣と若い人へのメッセージを教えてください。

私はもう皆に支えてもらってやってるわけだけど、自転車みたいなもので今止まったらだめになると思う、 ただそれだけのことです。 勉強はいつもやらなければ、仕事はできません。ほかの職業もそうだと思いますがね。 新しい判例も出るし、法律もどんどん変わりますから、間違った事で判断するわけにいかないから、 勉強はいつもせなあかん。まあそれは楽しいですがね。

いつも頭がさえておられるでしょう。なんでもよく覚えてらっしゃるから。

職業に関する事は、不思議によく覚えてますね。日常生活では人の名前は、 よく知っている人の名前でも、なかなか思い出せないときがありますね。 顔はよく分かっているのに、名前が出てこないことがあるのに。それなのに 公判で証人調べでいろんな人の名は,手控えしなくても、法廷で名前が出て こなかったという、ためしがないんですね。職業意識というものでしょうね。 それと、やっぱり大手前の卒業生は、そういうと何ですが、同年輩の人と較べたら、 随分しっかりされていますね。手紙など頂いても、字の間違いなど先ずない。流石だと思いますよ。 また若い人なかなか良いんじゃないですか。
私ねこの間、学校へ久しぶりに行ったんです。皆さんとっても明るい感じで、 昔のしめ付けられた感じじゃなくてものすごく伸び伸びしていて良いなあと思ったんです。 あれやったら人間が伸びるなあと思いました。 私は本をもっと読んでほしいと思ってね、大手前の図書室に佐々木静子文庫として、 社会科学の本を寄付させていただきました。緒方校長の時です。 今の人は知識としては安易にインターネットなどで得ますけれど、 理論立ててものを考えるとかいう機会が少ないんじゃないかなあ。 それとやっぱり受験というものは大事だけど受験によるマイナス面も多いですね。 私ら子供の頃、大手前は入るのに歴史一科目だけだったんです。歴史だけだっただからいろいろ余力はあるわね。 今はいろんなことやらないといけないから大変ですわね。分散してひとつの事をあんまり考えている暇がない。 そういう傾向がありますね。   だからいわゆる勉強の知識よりも自分でいろいろと自分の哲学を持つということが難しいわけですね。 今はちょっと気の毒です。

有難うございますこれで、インタビューを終わらせていただきます。

お迎えくださった先生はにこにこと笑顔でやさしく包み込むような雰囲気でお話下さいました。 お年を感じさせないお話ぶりと強い意志と信念を持ち続けられている大先輩に感動しました。


PROFILE 幼い頃 戦争について 大手前時代の思い出 最初の結婚 ママは大学一年生
家事と育児と六法全書 佐々木哲蔵氏と結婚 参議院議員当選


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