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佐々木は私の指導教官でした、修習生時代のね。吹田黙祷事件というのがありましてね。 そのときの裁判長だったんです。 やっぱり自民党政府から見ると思想的に好ましくない裁判官だと思ったんでしょうね。大阪弁護士会や司法労組が 佐々木裁判長を守れということで立ち上がって。大阪地裁の裁判官会議が全会一致で佐々木は間違っていないと、支援の決議をし、 当時の政府自民党と対立することになったんです。その時にマスコミがいろんな人のコメントをとるわけですよね。 私も黙祷事件の主意は間違ってないと思っていました。 朝日新聞も毎日新聞もわたしのコメントを取りにきました。裁判長の感覚は間違ってないと、当然のことだと言った。 それが本人同士の意思を超えて、二人は良い仲なんだと云われた訳です。 あの頃は裁判官が弁護士と結婚することは考えられなかった。今はいくらでもあるけれどね。佐々木は結局裁判官をやめた。 その時若い裁判官にものすごく言われた。私みたいなしょうもない者のために佐々木裁判長を葬るのか言うてね。 私がやめて家庭に入れば何にも問題ない。でも私はそれはいやだった。私は大勢の方から女性弁護士の登場と期待され、バックアップしてもらって、 弁護士になって、今でも弱い女性の人達の信頼を受けて、事件も受けてるのに辞めるわけにはいかない。 それで結局佐々木は裁判官を辞めた。 すごいですね。すごい愛のドラマですね。 いろいろ書かれたもんです。全体的には好意的な色彩で、余り非難はなかった。 大きな方だとお聞きしていますが。 体も大きいがスケールの大きい人でした。 <次ページへ> |